第248章

島宮奈々未は首をひねっていた。丹羽光世が病院へ行き、渡辺芳美の見舞いを済ませて帰ってからというもの、家にいても胸のざわつきが収まらない。

落ち着かず、島宮徳安の様子も見に行こうかと考えた矢先、羽澤哲也から電話が入った。

彼はすでに退院していて、喫茶店で会いたい、話があると言う。

奈々未は東守に送らせた。店に入っても、東守を隣の席に座らせ、コーヒーを一杯頼ませて待機させる。

羽澤哲也は東守を横目に見てから奈々未へ視線を戻し、皮肉を滲ませた。

「島宮嬢はずいぶん用心深いんだな」

奈々未は淡々と訂正する。

「羽澤殿。いまの私は、丹羽家の若奥様です」

羽澤哲也は「島宮嬢」と呼ぶ。心の...

ログインして続きを読む